「健康のために1日何歩歩けばいいの?」「1万歩と聞くけれど、とても無理」と感じていませんか。結論から申し上げると、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が示している目安は、成人で1日約8,000歩以上、高齢者で1日約6,000歩以上です。ただし同じガイドは、推奨事項は「目安」だとしたうえで、「今よりも少しでも多く身体を動かす」ことを全体の方向性に掲げています。
この記事では、8,000歩と6,000歩という数字の中身、実際にどのくらい歩けている人が多いのか、1万歩は歩かなくていいのか、そして雨の日や忙しい日など「歩けない日」の埋め方を順に整理します。数字や推奨事項の説明は、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を出典にしています。歩数の測り方や増やし方の段取りは、LIFEPLUSからのご提案です。
1日何歩が目安?ガイド2023の数字
厚生労働省のガイドでは、身体活動(ふだんの生活での動きと、運動の両方)の推奨事項が、成人向けと高齢者向けに分けて示されています。歩数に関わる部分は、次のとおりです。
成人:「歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行うことを推奨する(1日約8,000歩以上に相当)。」
高齢者:「歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。」
(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」成人版・高齢者版の推奨事項より)
ここで気になるのが「自分は成人と高齢者のどちらに当てはまるのか」です。実はガイドは、年齢で線を引いていません。推奨事項一覧の注には、こう書かれています。
「「高齢者」「成人」「こども」について特定の年齢で区切ることは適当でなく、個人の状況に応じて取組を行うことが重要であると考えられる。」
(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」身体活動・運動の推奨事項一覧の注より)
つまり、「何歳になったら6,000歩でいい」という決まりはなく、体力や健康状態で考えるということです。ガイドの高齢者版には、体力が十分にある高齢者は成人と同じ量(毎日60分以上の身体活動、あるいは1日8,000歩以上)を目標にしましょう、という回答も載っています。反対に、60代でも膝や腰に痛みがある方、久しぶりに体を動かす方は、6,000歩の側から、それも今の歩数から少しずつ増やす形で考えてかまいません。痛みや持病がある方は、先に医師に相談しておくと安心です(後半で詳しく説明します)。
8,000歩の中身は「歩く6,000歩+家事などの2,000歩」
「8,000歩を散歩で歩かなければいけない」と思うと、ハードルが一気に上がります。ガイドには、この数字の内訳が書かれています。
「60分の歩行は約6,000歩に相当します。また、3メッツ未満の(家事などの)生活活動は1日約2,000歩に相当します。このため、1日の合計は約8,000歩となります。」
(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」成人版より)
高齢者版も同じ考え方で、40分の歩行が約4,000歩、家事などの生活活動が約2,000歩、合わせて約6,000歩とされています。「メッツ」は体を動かす強さの単位で、ガイドでは歩行の強さが3メッツにあたるとされています。
ここから分かるのは、8,000歩のうち約2,000歩は、家の中や身の回りの動きで積み上がる分として見込まれているということです。スマートフォンや歩数計に出る1日の歩数には、台所と洗濯機の往復や、買い物の店内を歩いた分も入ります(スマートフォンなどを持ち歩いていれば)。歩く時間の目安は1日の合計で成人60分以上、高齢者40分以上で、続けて歩く必要はありません。あとは暮らしの中の動きで埋めていくイメージです。
なお、ガイドで3メッツとされているのは「歩行」、つまりふつうに歩くことです。LIFEPLUSでは、最初から速さを意識するより、まずはいつものペースで歩く時間を確保するところから始めることをおすすめしています。
実際はどのくらい歩けている?女性は目標まで約1,300歩
ガイドには、国の調査(国民健康・栄養調査)にもとづく歩数の現状も載っています。令和元年の調査では、20歳以上の1日の歩数の平均は6,278歩(男性6,793歩、女性5,832歩)でした。さらに、歩数の移り変わりを見ると、男女ともに年々低下傾向にあるとされています。
国の健康づくり運動「健康日本21(第三次)」では、年代と性別ごとに1日の歩数の現状値と目標値が示されていて、ガイドにも同じ表が載っています。女性の部分を抜き出すと、次のとおりです。
20〜64歳の女性:現状値(令和元年)6,685歩 → 目標値(令和14年度)8,000歩
65歳以上の女性:現状値(令和元年)4,656歩 → 目標値(令和14年度)6,000歩
(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」掲載の「健康日本21(第三次)」身体活動・運動分野に関する目標・指標より)
この年齢区分は、国全体の目標値を立てるためのものです。ご自身の目安は、先ほどのとおり体力や健康状態で考えてください。そのうえで、女性の現状値と目標値の差を見ると、どちらも約1,300歩です。ガイドの換算(60分の歩行=約6,000歩)に当てはめると、1,300歩はおよそ13分の歩行にあたります。平均的な女性なら、目標までの距離は「1日あと十数分ぶん」と考えると、少し現実味が出てくるのではないでしょうか。もちろん平均なので、すでに超えている方も、もっと離れている方もいます。まずはご自身の今の歩数を知ることが先です(後半で方法をご紹介します)。
1万歩は歩かなくていい?
「健康には1日1万歩」という言葉はよく耳にします。ただ、ガイド2023の推奨事項一覧に歩数として並んでいるのは、成人の約8,000歩以上と、高齢者の約6,000歩以上です。1万歩に届かないからといって、歩いた意味がないわけではありません。
では、たくさん歩くほどよいのでしょうか。ガイドの高齢者版では、体力が十分にある高齢者について、推奨事項以上の身体活動で死亡率はさらに低下するとしつつ、どの程度から「やりすぎ」になるかの根拠はまだ十分ではないとして、次のように書いています。
「整形外科的な障害や転倒、持病の悪化などのリスクがある高齢者では、年齢や健康状態に応じた適量の見極めが重要です。」
(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」高齢者版より)
LIFEPLUSとしては、体力に余裕があり、痛みもなく楽しく歩けている方が1万歩を目標にするのは、ひとつの選び方だと考えています。一方で、膝や腰、足の裏などに痛みが出ているのに数字のために歩き続けるのはおすすめできません。歩数は「多いほど偉い」数字ではなく、自分の体に合った量を探すための目盛りと考えてください。
ガイドの成人版のQ&Aにも、推奨事項を満たす必要があるかという問いに「ありません」と答えたうえで、こう書かれています。
「健康増進のために望ましい身体活動量は人それぞれです。推奨事項はあくまでも目安と考えてください。」
(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」成人版より)
歩けない日の埋め方|「今より10分」から
雨の日、仕事や家のことで外に出られない日、体調がいまひとつの日。毎日同じだけ歩くのは、現実には難しいものです。ガイドの高齢者版には「毎日6,000歩も歩けそうにありません」という問いへの回答として、少しでも身体活動をしたほうが健康によいことが分かっているとしたうえで、次のように書かれています。
「まずは今よりも10分多く身体活動をするように心がけましょう(プラス・テン:+10)。」
(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」高齢者版より)
ガイドの換算に当てはめると、10分の歩行はおよそ1,000歩分です。この「プラス10分」を、暮らしの中でどう作るか。LIFEPLUSからのご提案を4つご紹介します。
1.まず1週間、いつもどおりに過ごして歩数を見る
目標を決める前に、スマートフォンの歩数表示や歩数計で、ふだんの1週間の歩数を眺めてみてください。この1週間は、歩数を増やそうと意識しなくてかまいません。「出勤日は5,000歩、休日は2,000歩」のように、日によって大きく違うことが見えてくるはずです。目標は「平均+1,000歩」くらいから始めると、無理が出にくくなります。
なお、スマートフォンは持ち歩いていない時間の歩数を数えられません。家の中で置きっぱなしにしている方は、表示が実際より少なめに出ていることもあります。数字の上下に一喜一憂するより、「先週と比べてどうか」を見るのがおすすめです。
2.10分は分けていい:3分×3回でも積み重ねになる
「まとめて20分以上歩かないと意味がないのでは」と思っている方もいるかもしれません。ガイドの成人版のQ&Aでは、最短の持続時間や最低限の頻度はあるかという問いに「ありません」と答え、「短い時間の積み重ねでも健康増進効果は得られます」としています。
たとえば、ゴミ出しのついでに家の前を少し歩く、ひと駅ぶん・バス停ひとつぶん歩く、駐車場の遠い場所に停める、といった数分の積み重ねでもかまいません。
3.外に出られない日は、家事と「立つ時間」で稼ぐ
ガイドでは、運動だけでなく生活の場面でも体を動かすことが勧められていて、例として家事(買い物・洗濯・掃除)や、家事や仕事のすきま時間の体操が挙げられています。雨の日は、掃除機がけや床拭き、洗濯物を一度に運ばず数回に分けて運ぶ、といった工夫で歩数は少しずつ増えます。
また、ガイドには、長く座り続ける時間をできるだけ頻繁に(例えば30分ごとに)区切ることが、食後の血糖値などの面で重要だと報告されていることも書かれています。テレビのCMのたびに立ち上がる、お茶を入れに行く、といった小さな区切りも、今より少しでも多く体を動かすことの一部です。
4.1日で落ち込まず、1週間で見る
歩けなかった日があっても、その日だけで判断しなくて大丈夫です。ガイドの推奨事項そのものも、1日あたりの時間と並んで、週あたりの「メッツ・時」という1週間単位の量で示されています。ガイドの成人版には、週に1回でも健康増進効果があると報告されているという回答もあります。「今週は雨が多かったから、晴れた土日にいつもより少し長めに歩こう」くらいの、ゆるい帳尻合わせで続けていきましょう。一度に大きく増やすと体に負担がかかるので、増やすのは「いつもより少し」までにしておくのが安心です。
歩数を増やす前に確かめたいこと
歩くことは取り入れやすい運動ですが、誰にとっても負担がないわけではありません。ガイドには、持病のある方への注意として次のように書かれています。
「身体活動によって悪化する可能性のある合併症・運動器の痛みや変形がある場合があるため、事前に医師等の専門家に相談する。」
(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」慢性疾患を有する人の身体活動のポイントより)
高血圧や糖尿病などで通院中の方、膝や腰に痛みがある方、医師から運動の制限を受けている方は、歩数を増やす前にかかりつけの医師にご相談ください。糖尿病の治療中の方は、歩いている途中に強い空腹感やふるえが出たときの対処も、あわせて確認しておくと安心です。
歩いている最中の体調の変化にも注意が必要です。ガイドの「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」には、「運動中に次のような症状を自覚するなど、体調に異変を感じたら、直ちに運動を中止しましょう。」とあり、胸の痛み、強い空腹感やふるえ、冷や汗、動悸、いつもと違う強い疲れ、めまいやふらつき、関節や筋肉の強い痛みが挙げられています。こうした症状が出たら、歩数に関係なくその場で歩くのをやめてください。症状が治まらないときは、すぐに医療機関に相談しましょう。胸の痛みが続くときや、息苦しさ・冷や汗を伴うときは、ためらわず119番に連絡してください。胸の痛みや動悸、冷や汗、めまいは、治まった場合も自己判断で歩くのを再開せず、医療機関に相談してください。
また、膝や腰などの痛みが、歩いている途中や翌日に強くなる場合は、歩数を戻して様子を見ましょう。気になる症状が続く場合は、医療機関にご相談ください。
歩きに出る前の体調の確かめ方や、翌日の疲れの見方は「筋肉痛のときに筋トレや運動はしていい?休む目安と翌日の疲れの見方」で、運動をこれから始める方の最初の一歩は「40代から運動を始めるなら何から?きつくない始め方と週の回数」で詳しくご紹介しています。
日進市で「歩ける体」を整えるなら
LIFEPLUS(ライフプラス)は、愛知県日進市岩崎町にあるコンディショニング専門のパーソナルジムです。「鍛える前に、まず整える」を大切に、マンツーマンのパーソナルトレーニング(1回60分)、少人数で行うセミパーソナル(1回30分)、8:00〜22:00にご自身のペースで使えるフリーエリアなどをご用意しています(サービス紹介)。
「歩くと膝や腰が気になって、歩数を増やせない」「外を歩くのが続かないので、屋内で体を動かせる場所がほしい」という方は、体験の際にお気軽にご相談ください。体験では、きつい運動は行いません。体の変化には個人差があり、期間や数値をお約束することはできませんが、今の体の状態に合わせて内容を考えていきます。
当施設は医療機関ではありません。気になる症状があるときは、まず医療機関にご相談ください。
出典:厚生労働省ホームページ「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(身体活動・運動の推奨事項一覧/成人版/高齢者版/身体活動・運動を安全に行うためのポイント/慢性疾患を有する人の身体活動のポイント/「健康日本21(第三次)」身体活動・運動分野に関する目標・指標の各項)。2026年9月29日に内容を確認しています。引用として示した文章は出典の原文のままです。それ以外の出典の説明は、LIFEPLUSが出典の内容を要約・編集したものです。「約1,300歩」「およそ13分」「およそ1,000歩分」は、ガイドの数値からLIFEPLUSが計算したおおよその値です。
